戦後60年、わが国は経済大国にはなりましたが、その景観は経済優先の中で混乱し、地方では佇まいを失った市街地の空洞化が社会問題化しています。とりわけ建築や土木施設などの形態・色彩やその大きさには、個性化の名の下に群れの視点を無視したものや、景観を阻害する要素も多く見られます。また、拡大や散逸を続けてきた都市をコンパクトなものに引き戻すためにも、街なかの魅力を掘り起こして街の活性化を図ることが必要です。
 こうした状況に対応すべく国土交通省では2005年に、市街化区域だけでなく広く国土を美しくする施策である「景観法」を施行し、2006年には、総合的な視点から商業や公共施設の再配置を促すための「改正まちづくり三法」を打ち出しています。
 まちづくりの方法もこれまでとは大きく変わり、その主体は住民や民間企業の時代になっています。もちろん、政治や行政のリーダーシップは必要ですが、行政機関や公共セクターが担える領域は限られています。またその開発や整備の方針は市民や有識者を巻き込んだ幅広い意思決定と情報公開を経なければ決められない時代になりつつあります。多くの場合、住民は土地の権利者になりますが、外部資金を持ち込む民間の開発事業者の役割も重要です。それは同時に、直接関係者や政治の短期的な利害に左右され易い危険性もはらんでいます。したがって、そこには長期的な公共性を自立した立場で広い視野から主張できるまちづくりの専門家の知識や技術が必要となります。
 ここに設立する特定非営利活動法人は、これまでまちづくりの経験や実績を多く持つ実務の専門家が主たる構成員となり、住民や民間企業および行政とも連携して、景観デザインを中心とした安全で快適なまちづくり活動を支援することによって、広く社会に貢献することを目的としています。

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